
★07/1月のテーマ★
木の話1 「天竜杉」と国産材

今月から「木」をテーマにお話します。
家を建てるためには数々の「木」を使います。木造だけでなく、鉄骨造やコンクリート造の家でも「木」はたくさん使われています。木造の場合、構造材に「木」を使用しているため「木造」といわれます。
構造体に使われる木材には、どんな種類があるのでしょう。
木造の場合、大きく3つの種類に限られます。その3種とは「杉」と「桧」と「松」です。ただし、この3種類の樹種はどこに使用してよい訳ではありません。材種によって適した部位があるのです。
中でも、「杉」は土台や梁には適さず、主に柱材として使用されることが多いのです。その他、下地材や造作材としてもよく使われる用途の広い材料といえます。
柱として使う場合は、必ず芯持材(しんもち材)を使わなくてはなりません。芯持材とは、木の芯を中心にして製材された柱をいいます。芯持材は均等に反りやねじりがあり、そうでない柱と比べると狂いが少ないのです。これは、「桧」の柱も同じです。
外国産の場合、芯持材に限ってしまうと、元々太い丸太を製材すると非常に多くの無駄が出るため、芯去材(しんさり材)が多いのです。つまり、柱にするとねじりが大きく狂いやすいという欠点が出てしまいます。欠点をカバーするため「集成材」として使われます。
さて、杉は、産地によってそれぞれ名称が付いています。秋田杉・吉野杉・屋久杉・天竜杉などと呼ばれ、同じ杉でも産地によって特徴があります。
私の身近な所で「天竜杉」があり、なかなか有名な杉です。天竜杉は温暖な気候の中で育ち、木目が非常に美しく、良い香りがして肌触りが良いという特徴があります。
杉は加工しやすいため、下地材や造作材として使われます。最近は自然素材ブームで、床材としても使われるようになりました。合板のフロアーより、ずっと肌触りがよく温かみがあります。そのためか女性に人気があり静かなブームになっています。
また、天竜杉をドアなど建具として使用されるようになりました。杉を厳選し、柾目の良いところだけを加工した建具は非常に美しく、部屋の雰囲気が和やかになります。合板にはない自然の木目は、私たちに癒しを与えてくれますし、木の香りはリラクゼーションとなり、快適な室内環境が実現します。
「桧」といえば、「桧舞台」「桧風呂」「桧の香り」などといった言葉を連想します。
いずれも、好印象で住宅でも「総桧造り」といえば、高級住宅の代名詞みたいに思う方が多いでしょう。
桧と同じく、杉も日本人にとって馴染み深い材種です。
杉と桧を比較した場合、杉は、育った環境が南斜面の日当たりの良いところで、成長が早く木そのものが柔らかいため、建築材料として扱いやすい手軽な材料といえます。
一方、桧は環境のあまり良くない山で育ちます。ですから、建築材料として使用できるまでにはおよそ100年近く成長を待たなくてはなりません。ですから、桧は貴重な材料で、価格も杉よりずっと高くなります。
赤みの強い杉に比べ、桧は淡い黄色に近く光沢があります。その上、木目が緻密で品がよく美しい材料です。杉の木目も美しさがありますが、桧と比べるとやや荒く男性的です。桧は女性的といえるかも知れません。
桧は主に柱材として使われます。和室のように柱を化粧として見せる場合「桧でなくてなならない」という風潮があります。私たちは、和室に杉やその他の樹種で造作するなんて考えられないことなのです。桧という価値観に魅力があるからです。
ところで、桧の柱にはランクがあるのをご存知ですか。節が多い少ない、角に丸みがあるなしで等級が付いています。節のまったくない「無節」が最もランクが上で、次に「上小」(じょうこ)小指ぐらいの節が数個あるもの、「特一等」「一等」の順に節が多くなり、ランクが下がってきます。当然、値段も下がります。
なぜ、節が少ないと高級品になるのか理由があります。
節というのは、木の枝の部分をいいます。何も手入れをせずに放っておくと、枝が伸び製材すると節だらけになってしまいます。ですから、木が小さいうちから枝払いをして大事に育てないと、節のないよい製品にはなりません。
いわば、木の中でも大切に育てられたエリートなのです。人間の手によって手間ひまかけて育ち、人件費や貴重性という点から高級な材料として大切に扱われます。
実際、建具や桶など、節があると狂いが生じ、機能的に不具合があっては使い物になりません。
桧の特性を生かした家具や建具など、日本人の感性にピッタリとして人気があるのはうなずけます。このところ、集成材を使って建てるメーカーが多くなりました。決して悪いとは思いませんが、比較した場合、やはり自然の素材である「桧」に軍配を上げたくなります。